Vuteq の米国における歩みは、工場ではなく、一つの食卓から始まりました。1986年、創業者・福田耕造は、当地へ移り住んだ日本人駐在員やそのご家族を支えたいという思いから、ケンタッキー州レキシントンに日本料理店を開店しました。その「おもてなし」と「共に歩む」精神は、翌年には自動車事業へと発展し、現在の Vuteq USA の礎となっています。
創業者 — 福田耕造
1964年、24歳だった福田耕造は、自動車用ガラス組立事業を手がける会社を創業しました。その後、資本金200万円で「中部工業株式会社」として事業を再編し、自動車業界のニーズに応える体制を整えました。「会社は家族のような、開かれた温かい場所であるべき」という福田の理念は、現在の Vuteq グループの企業文化の礎となっています。
すべては一軒のレストランから
トヨタがケンタッキー州ジョージタウンで初の米国完成車工場の建設を進める中、多くの日本人エンジニアや駐在員、そのご家族が現地へ移り住みました。福田は、異国の地で生活する人々に安心できる居場所を提供したいと考えます。1986年11月、米国法人「Chubu Trading Inc.(中部商事)」を設立し、その翌年である1987年11月、レキシントンに日本料理店「橘(Tachibana)」を開店しました。橘は日本人コミュニティだけでなく、本格的な日本料理に触れる機会の少なかった地元ケンタッキーの人々にも温かく迎えられました。現在もレキシントン市 Newtown Court 785 にて営業を続けています。
レストラン経営からジャストインタイム供給へ
橘の開店に先立つ1987年9月、Vuteq Corporation が米国子会社として設立されました。最初の使命は、ドアガラスおよびサンルーフのサブアセンブリを供給することでした。この事業を起点として、Vuteq は北米全域へと事業を拡大していきます。
北米での歩み
- 1986年 — ケンタッキー州に Chubu Trading Inc.(中部商事)設立
- 1987年 — レキシントンに日本料理店「橘(Tachibana)」開店
- 1987年 — ケンタッキー州ジョージタウンに Vuteq USA Kentucky Division 設立
- 1988年 — カナダ・オンタリオ州ウッドストックに Vuteq Canada Inc. 設立
- 2001年 — インディアナ州プリンストンに Vuteq Indiana 開設
- 2005年 — テキサス州サンアントニオに Vutex Inc. 設立
- 2008年 — ミシシッピ州ニューアルバニーで Diversity-Vuteq 事業開始
二軒目のレストラン
橘から始まったおもてなしの精神は、やがてオハイオ川を越えて広がりました。中部商事は後にインディアナ州エバンズビルに二店舗目となる日本料理店「岩田屋(Iwataya)」を開店しました。プリンストンの Vuteq Indiana 工場からも近く、日本人コミュニティと地域社会を結ぶ交流の場として親しまれました。なお、岩田屋は現在は閉店しています。
現在の Vuteq USA
Vuteq USA は本社をケンタッキー州ジョージタウンに置き、インディアナ州、アラバマ州、ケンタッキー州、テキサス州に拠点を展開しています。また、姉妹会社である Diversity-Vuteq はインディアナ州およびミシシッピ州で事業を運営しています。約700名の従業員が、シーケンス供給、サブアセンブリ、ガラス加工、樹脂・金属成形、商用物流、危険物輸送を通じて主要自動車メーカーを支えています。Vuteq USA は ISO 14001:2015 認証を取得しており、日本・愛知県豊田市に本社を置く VUTEQ CORPORATION のグループ企業です。
今も私たちを導く理念
「安全はすべての入り口」。そして、「会社は家族のような場所であるべき」という福田の信念は、今日も Vuteq の企業文化の中心にあります。私たちは生産実績や納入数量だけでなく、従業員一人ひとりが安心して働ける職場づくりを大切にしています。レストランは工場へ、工場はグローバル企業へと発展しました。しかし、人と人とのつながりを大切にする創業の精神は、今も変わることなく受け継がれています。